旅にリスクのあった時代

「旅」なんてことを気楽にいいますけれども、旅が気軽なものとなったのはほんとうに最近のことでした。戦後すぐの頃などは、海外旅行がほぼ不可能な状態だったのです。当時の常識でいえば「ちょっと前まで日本だったところ」を含めてです。国際空港ができるまで、その窮屈さは続きました。 それ以前においてはもっと苛烈です。今のように鉄道などない時代には、選択肢は二つでした。すなわち、「海運」と「徒歩」です。前者には絶えず死がつきまとっていました。ダメージコントロール技術も満足でない時代の事だから……で済む話ではありません。つまり、船の持ち主にとっては「財産」そのものを賭けながら旅をさせていたことになります。その脅威は、船に乗っている乗員だけの話ではなかったのです。

旅のリスクはもはやない

そして時は流れて今日です。今や国内物流の主役は船舶ではなくトラックになりました。もちろん、鉄道も変わらぬ存在感を放ってはいますが。いずれにせよ、海運の重要度が現じたことに変わりはありません。そして、海運の安全性についても昔とは比較にならないほど高まっています。それだけ技術もインフラも、進歩を享受しているというわけなのです。それは流通と関係ない個人の旅行でも同じことがいえます。 前置きが長くなりましたが、ここでいいたいことはただ一つです。「旅をしてみよう、今や安全だ」と。その昔には困難だったことですが、今はそうではありません。山にはトンネルが掘られました。鉄道も整備され、行けないところはありませんしスピードも十分です。さらには飛行機もあります。「旅はいいぞ」、これを気軽にいえる時代がやってきたのです。